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恵比寿で戦う社長のBlog

●米携帯大手に戦いを挑んだ孫正義氏●

2013年5月17日 | カテゴリー:社長ブログ

孫さん世界1か。やっぱ男はこうじゃないと。

感動したのでウォール・ストリート・ジャーナルから全文掲載します。

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米携帯大手に戦いを挑んだ孫正義氏

日本では、孫正義氏はインターネットで財を成し、電気通信業界の勢力図を一変させた風変りな億万長者として知られている。その孫氏が米国で、金も勝ち目もないのにAT&Tとベライゾン・ワイヤレスという2大企業にケンカを売った男として知られようとしている。

貧しい家の子どもが金持ちの子どもとケンカをするようなものだ―。孫氏は先日、米大手2社との対決についてこう語った。貧しい家の子どものほうが苦しい戦いに挑むガッツがある、と孫氏は言う。

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孫正義氏

孫正義氏

ソフトバンクは先月15日、米携帯電話会社スプリント・ネクステルの株式70%を200億ドルで買収すると発表した。スプリントは米国で第3位の携帯会社だが、AT&Tとベライゾンに大きく水をあけられている。買収が成立するには米当局とスプリントの株主の承認を待たなければならないが、ソフトバンクの社長であり筆頭株主でもある孫氏は既に、業界大手による市場支配を打ち破るよう努力すると宣言した。

孫氏はウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、ベライゾンとAT&Tは利益率の健全化と手厚い配当で株主を豊かにして喜ばせる必要があると述べた。ベライゾンとAT&Tは米携帯電話業界全体の顧客の3分の2を握り、業界の利益をほぼ独占している。

日本では、孫氏は値下げという焦土作戦を手に電気通信業界のライバルの後を追い、ライバル企業に利益か顧客のどちらかを選べ、と迫った。孫氏はベライゾンとAT&Tとの対決でも同様の戦略を採用する可能性を示唆した。また、数十億ドルをかけてスプリントのネットワークを強化する意向を示した。ベライゾンとAT&Tの契約者数は合わせて約1億6000万人。これに対して、スプリントの契約者数は3200万人にとどまる。

勝つにせよ負けるにせよ、孫氏はベライゾンとAT&Tにとって最悪のタイミングで現れた予想がつかない手ごわいライバルとなりつつある。長年にわたって契約者をめぐって戦いを繰り広げてきたベライゾンとAT&Tは、顧客からさらに利益を搾り取るべく、新たな料金プランとしみったれたアップグレードポリシーの発表を続けてきた。孫氏の登場で、2社は値上げを抑制せざるをえなくなるかもしれない。しかし、それも孫氏がスプリントの全国ネットワークを強化し、ライバルをしのぐという賭けに成功すれば、の話だ。

小柄できゃしゃな体つきをした55歳の孫氏は日本で最も有名な社長の1人だ。孫氏が20.9%の株式を保有するソフトバンクはヤフー・ジャパンと中国の阿里巴巴集団(アリババ・グループ)の大株主で、6年前にボーダフォン・グループから買収した日本第3位の携帯電話会社が事業の主体となっている。

孫氏は自らの生い立ちについてよく話す。九州の貧しい韓国系の家庭に生まれ、一家で正式な住所もない掘立小屋に暮らしたという。父親は養豚業を営むかたわら密造酒を作り、その後、パチンコ店のオーナーとして快適な生活を送るようになった。

韓国系であることが日本での成功の妨げになる可能性があるとの思いから、孫氏は16歳のときに米国に渡った。孫氏のこれまでの話では、父親が病気だったこともあって、家族も友人も教師も孫氏の米国行きには賛成しなかった。しかし、決意は固かった。米国は差別から逃れ、成功できる唯一の場所だった、と孫氏は話している。父親も最後には折れた。

孫氏はサンフランシスコに近いセラモンテ高校に通い、その後、カリフォルニア大学バークレー校で経済学の学位を取得した。

孫氏は若くしてその商才を発揮した。孫氏の最初のアイデアの一つに、空港の売店で音声機能付き翻訳機を販売するというものがあった。孫氏は機械と人間の発話の共通点について研究を行っていたバークレー校のフォレスト・モーザー教授を見つけ出し、試作品を作るよう説得した。孫氏はその機械を50万ドルでシャープに売却した。

モーザー教授は当時を振り返って、「彼からは何の支払もなかった。完全にビジネスマンだ」と語った。

ソフトバンクの広報担当者によると、孫氏はモーザー氏に対価を支払った記憶があるという。しかし、詳細は明らかにしなかった。

孫氏はバークレーの学生で年上のHong Lu氏がマネジャーを務めていたアイスクリームショップに立ち寄った。そこで二人は出会った。Lu氏によると、孫氏はミルクシェークを注文し、もっと濃くしたほうがいい、そうしなければ金は払わないと言ったという。

Lu氏の話では、孫氏は間もなくLu氏を雇い、便利屋という肩書を与えた。Lu氏の仕事は航空券の予約や、孫氏が仕事をしていても大学を卒業できるようにすることだった。Lu氏によると、孫氏が日本に出張しているときに、Lu氏は1度か2度、孫氏の代わりに授業に出席し、孫氏のふりをして講堂の後ろのほうに座ったという。

孫氏はモーザー氏とLu氏について、「今の私があるのは彼らがいてくれたから。今も私にとってとても大切な人達で、彼らには心の底から感謝している」と語った。

Lu氏によると、孫氏が経営したゲーム機事業は1カ月に数万ドルの収入をもたらしたという。他にも、例の音声機能付き翻訳機のプロジェクトや食に関する雑誌(発行されることはなかった)、Lu氏の家を担保にした融資で買収したゲームセンターもあった。

日本に帰国した孫氏は1981年にソフトバンクを設立した。同社は小売店向けにソフトの卸売をしていたが、やがてシスコシステムズやロータス・デベロップメントなど米国のテクノロジー企業の仲介業者となった。

孫氏は早くからインターネットに狙いをつけており、のちにジオシティーズやイー・トレード・フィナンシャルなどテクノロジー企業約600社に投資した。ソフトバンクは1995年にコンピューターの展示会「コムデックス」の運営会社を8億ドルで買収、その1年後には、雑誌「PC Week」の発行元ジフ・デイビス・バブリッシングを21億ドルで買収した。

ジフ・デイビス・バブリッシングの最高経営責任者(CEO)のエリック・ヒッポー氏は孫氏を創業したばかりの検索エンジン企業ヤフーに紹介した。ジフ・デイビスはヤフーに500万ドルを投資すると口頭で約束した。ヤフーは当時、創業から2年も経たない赤字会社で、従業員もたった10人程度だった。

孫氏はヤフーのオフィスで創業者のジェリー・ヤン氏とデービッド・ファイロ氏と会うと、ジェフ・デイビスによる投資を1億ドルに増やしたいと言った。ミーティングに参加したヒッポー氏によると、ヤン氏はうれしいことだが、1億ドルも必要ないと答えたという。ヒッポー氏の記憶では、孫氏はヤン氏に「ジェリー、誰でも1億ドルは必要だ」と言ったという。ヤン氏は本稿へのコメントを差し控えた。

最終的にヤフーは1億ドルの投資を受け入れ、ヤフーが1996年4月に株式を公開したときには、ソフトバンクがヤフーの株式の3分の1以上を保有していた。孫氏はさらに、自分にヤフーの日本支社を合弁で設立させほしいとヤン氏とファイロ氏を説得した。

中国の電子商取引大手の阿里巴巴集団を率いる馬雲(ジャック・マー)CEOもこれとよく似た話をしている。馬氏は500万ドルの投資を獲得した直後の1999年に、孫氏に事業計画を示したところ、説明を始めて6分後に、孫氏は馬氏の話を遮り、ソフトバンクからも大型投資を受けるべきだと言った。

もっと早く金を使ったほうがいい。馬氏は孫氏からそう言われたという。ソフトバンクは現在、阿里巴巴集団の株式の約3分の1を保有している。

こうした投資のおかげで、孫氏はドット・コム長者の一人になった。インターネット・バブルの絶頂期には、ソフトバンクの時価総額は20兆円にもなった。孫氏は当時、ソフトバンクの株式の37%を保有していた。

インターネット・バブルがはじけると、ソフトバンクの株価は急落した。2002年までに、同社の時価総額は2年前のピークから98%も下落、孫氏の個人資産のうち7兆円以上が吹き飛んだ。

ソフトバンクはヤフーとイー・トレードの保有株式のほとんどを売却して資金を調達、電気通信事業に参入した。電気通信事業は有形資産の事業で、ドット・コム・ブームの際に投資したハイリスクの新興企業より収益の見通しが立ちやすい。

孫氏はまず、2001年にヤフーのブランド名で高速インターネット接続サービスを提供した。ソフトバンクは無料でモデムを配布するなどの手法で顧客を呼び込んだが、技術的な問題や顧客サービスの弱さの克服に苦戦した。

ブロードバンド事業の問題が響き、ソフトバンクは4年連続で赤字を計上した。孫氏は役員室の13階下のブロードバンド担当部署に近い会議室にオフィスを設置した。

Lu氏によると、孫氏は時々このオフィスに泊まり込んで、定期的に幹部や取引先を呼んで深夜に会議を開いた。Lu氏は当時、孫氏のブロードバンド事業向けに機器を納入する米企業の経営者だった。孫氏はLu氏の会社の社員を午前3時にオフィスに呼び出すこともあったという。孫氏は普通のビジネスマンとは思えない、とLu氏は語っている。

元社員によると、こうした会議が8時間以上続くことも珍しくなく、会議中に孫氏がトレッドミルを使ってランニングをすることもあったという。孫氏はブロードバンド事業が十分なコスト削減を行い、十分な数の顧客をさらに利益率の高いプランに移行させるまで、18カ月間にわたってこの会議室を拠点に仕事をしていた。

ソフトバンクとブロードバンド事業はともに、2006年3月期に通年の黒字化を果たした。そして、同年3月、ソフトバンクは英ボーダフォンから1兆7500億円で日本の携帯電話事業を買収するために借り入れを行った。ソフトバンクの債務格付けは当時、既に投機的に引き下げられており、投資家は同社が大きな賭けに出たことを不安視した。同社の株価は40%下落した。

ボーダフォンの日本事業は赤字続きで、契約者数も減少していた。ネットワークの強化を図る必要もあった。競争相手のNTTドコモとKDDIは当時、日本の携帯電話市場の80%を支配していた。

孫氏は値下げを断行し、月額料金を競争相手の約4分の1にまで引き下げた。孫氏は、しゃべる白い犬がお父さん、家族の人種も異なるという面白いテレビコマーシャルの製作にもかかわった。賞を取ったこともあるこの奇抜なコマーシャルのおかげで、当時、日本市場で第3位だった同社の携帯電話事業は四半期を追うごとに大手2社を超えるスピードで新たな顧客を獲得した。

孫氏は異常ともいっていいほどの熱心さで進ちょく状況を確認した。孫氏には、ソフトバンクの小売店舗のレジからデータを集める独自のシステムがあり、孫氏はそこからデータを画面に送って、自分のデスクから見られるようにしていた。最近では、自身の「iPad(アイパッド)」にデータを送っている。ある元役員によると、孫氏は売上高が目標を下回っている部門の担当役員に定期的に電話していたという。

ソフトバンクの契約者ベースを構築し、負債を返済すると、孫氏は新たな買収を仕掛けたくなった。取締役のロン・フィッシャー氏によると、孫氏は1年以上前に、ソフトバンクを世界的な企業に育て上げる「30年ビジョン」を実現するためには国外に目を向ける必要があることを取締役会に納得させたという。

ソフトバンクに近い関係者によると、孫氏らは数カ月にわたって、新興国市場として成功が著しく、大きな利益が期待できるアジアの携帯電話会社を検討した。孫氏が米国を詳しく調べようと決めたのは、今年に入ってからだったという。同関係者によると、米国の強みは経済と政治システムが安定していること、それに米国の携帯電話利用者の消費支出のパターンが日本と似ていることだった。

フィッシャー氏はスプリントのダン・ヘッセCEOが新興企業テラビーム・ネットワークスを経営していたころから10年以上の付き合いがあった。ソフトバンクがテラビームに出資し、フィッシャー氏はテラビームの取締役を務めていた。フィッシャー氏は夏ごろ、ヘッセ氏と連絡をとり、間もなく交渉が始まった。「プロジェクト・コロンブス」というコードネームが付けられた

孫氏が先月、東京でスプリントの買収を発表したとき「男子として生まれたからには、いずれは世界一になるぞという高い志は持っている 」と率直に野心を口にした。

言うは易く行うは難し。スプリントは金のかかるネットワークの強化、155億ドルに上る「iPhone(アイフォーン)」の販売補助金、多額の債務という問題を抱え、苦戦している。スプリントは保有する周波数帯域のライセンス(通話やインターネット通信を行うための電波を使用する権利)の数で大手2社に後れを取っている。AT&Tとベライゾン・ワイヤレス(ベライゾン・コミュニケーションズとボーダフォンの合弁会社)がライセンスを保有する周波数帯域はそれぞれ100メガヘルツ以上で、米国で最大。スプリントが保有する周波数帯域は56メガヘルツだが、同社の契約者が少ないことを考えると、それほど悪い数字ではない。スプリントは今月、USセルラーと合意するなど、ソフトバンクが出資した資金を使ってさらに多くの周波数帯域を取得しようとしている。

ソフトバンクによる買収が成立すれば、スプリントには80億ドルが直接投入され、同社はさらに柔軟に周波数帯域のライセンスを取得したり、比較的規模の小さい競合他社を買収したりすることができるようになる。また、スプリントは定額制の料金プランの提供を続けることができるかもしれない。AT&Tとベライゾンは定額制の料金プランをほぼ廃止しており、スプリントが定額制プランを継続すれば、顧客にアピールできる。

ソフトバンクのスプリント買収について、AT&Tのジョン・スティーブンス最高財務責任者(CFO)は、米国の携帯電話業界に新規参入する企業は大きな困難を突き付けられると述べ、その理由としてネットワークでカバーしなければならない地域が広いことと、急増しているデータ通信の利用に対応するためネットワークを常に強化する必要があることを挙げた。ベライゾン・ワイヤレスはコメントを差し控えた。

スプリントの第3四半期決算は純損益が7億6700万ドルの赤字で、契約者数は45万6000人減少した。同社は複雑で費用のかかるネットワークの整備が遅れていることを認めた。これに対して、AT&Tの第3四半期の純損益は36億4000万ドルの黒字、ベライゾンも15億9000万ドルの黒字だった。契約者数は両社ともに増加した。

10月初旬にソフトバンクのスプリント買収のニュースが漏れ伝わると、ソフトバンクの株価は数日間で20%以上下落した。現在、株価は持ち直し、現在はニュースが伝わる以前と比較して9%高い水準で推移している。

孫氏はスプリントの業務に加え、料金プラン、販売する端末、広告の詳細についての決定に大いにかかわっていくと話している。テレビ会議を通じて週に1度はスプリントと連絡をとり、月に1度は訪米するつもりだ。孫氏は大阪より米国に行った回数のほうが既に多い、と冗談めかして言った。

自分の成功に200億ドルをかけている、と孫氏は言った。

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