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クッキー削除率は20%? 本当のユニークユーザー数がわかる新しいアクセス解析ツールX-logに注目 [編集長ブログ―安田英久] | Web担当者Forum
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Web担のなかの人

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なかなかおもしろいアクセス解析サービスが生まれたようだ。株式会社ジャスネットの提供するX-log(エックスログ)だ。

X-logの特徴は、次の3点。

純訪問者数分析 ―― クッキーが削除されてもIPアドレスが変わっても、ユニークユーザーとして識別できる 不正クリック判別 ―― ユニークユーザー識別機能を利用して、故意にリスティング広告を何度もクリックしている人を見つけ、対応できる リアルタイム分析 ―― 訪問者のアクセス状況が、ほぼリアルタイムに管理画面に反映される

もちろん、一般的なアクセス解析ツールがもつ解析、広告効果測定、コンバージョン分析などの機能はひととおり提供している。

アクセス解析の基本項目。曜日別や時間帯別でも表示できる
アクセス解析の基本項目。曜日別や時間帯別でも表示できる
比率を円グラフで表示することも可能(図は流入状況の解析)
比率を円グラフで表示することも可能(図は流入状況の解析)
流入経路分析も備えている(図は検索キーワードの解析)
流入経路分析も備えている(図は検索キーワードの解析)
コンバージョン分析も可能(図は会員登録の段階別コンバージョン状況の分析)
コンバージョン分析も可能(図は会員登録の段階別コンバージョン状況の分析)
X-logの基本分析のサマリ画面
X-logの基本分析のサマリ画面

2010年4月1日からサービスが開始されたこのX-log、53件もの特許技術をベースに実現しているという、上記の3点と基本的な部分について、それぞれ解説していこう。

・純訪問者数分析
 クッキーに頼ったUUは実際の2倍を示す?
・不正クリック判別
 平均で17.4%に上る不正クリックを判別して防止
・リアルタイム分析
 いま閲覧しているページも管理画面でチェック
・ECサイトに最適、利用料金も月額3,300円から
純訪問者数分析
クッキーに頼ったUUは実際の2倍を示す?

X-logの最大の特徴が、クッキーが削除されてもIPアドレスが変わっても、ユニークユーザー(ユニークブラウザ)を識別できる機能だ。

これは、地味ながら実はかなりすごいことである。

同社によると、何らかの形でクッキーを削除しているユーザーは、全体の約20%にものぼるとのこと。第三者の調査でも、英国のネットユーザーの約23.5%が、月に1回はクッキーをクリアしており、その影響でクッキーの情報を元にしたサイト利用者数のデータは実際の2.4倍になっているという。

英クッキー削除で、アクセス解析でのサイト利用者数は実際の2.4倍にもなっている
http://ibukuro.blogspot.com/2009/10/24.html

つまり、アクセス解析で一般的な、クッキーをベースにしたユニークユーザーの識別は、現状ではかなり不正確である可能性が高いのだ。X-logでは、各種の情報を利用してユニークユーザーを判断できるという。英語圏のアクセス解析ツールでは全体のおおまかな流れをチェックすることが中心で、訪問者ごとの経路確認ができないものも多いが(Google Analyticsもそうだ)、さすがに日本向けに作られているだけあって、日本で要望の多いユーザーごとの行動を確認する機能はしっかり備えられている。

残念ながら、その詳細については、日本で現在特許申請中であるため明かせないということだが、なかなか興味深い。

クッキーを削除したりIPアドレスが変わったりしている率も表示できる
クッキーを削除したりIPアドレスが変わったりしている率も表示できる
個人ログ分析の画面。IPアドレスが変わってもその人の一連のアクセス状況をチェックできる
個人ログ分析の画面。IPアドレスが変わってもその人の一連のアクセス状況をチェックできる
不正クリック判別
平均で17.4%に上る不正クリックを判別して防止

ここでいう不正クリックとは、クリック課金型の広告(Yahoo!リスティング広告や、Googleアドワーズ広告など)における、競合他社やアドセンス掲載サイトなどによる、広告費を発生させることを目的としたクリックのこと。

日本ではあまり語られない話題だが、不正クリックは地域によっては大きな問題となっている。不正クリック対策を専門とするクリックフォレンシック社によると、不正クリック率は17.4パーセントに上るという。同社は、特に2010年第1四半期には、非英語圏での不正クリックが大幅に増えているとレポートしている。

不正クリック指標(クリックフォレンシック社)
http://www.clickforensics.com/resources/click-fraud-index.html

X-logでは、前述のように、不正クリック者がクッキーを削除したりプロキシを変えたりしても、同一のブラウザであることを識別できる。そのため、同じ端末(ブラウザ)で何度も広告をクリックしているユーザーを見つけることができる。不正クリックが疑われるユーザーに対しては管理画面からフラグを立て、サイト上で警告を発したり、それ以降のサイトへのアクセスを禁止したりできる(そういった処理を自動的に行う設定も可能)。

もちろん、グーグルもヤフーも、不正クリックを自動的に判別して請求に含めないようにするシステムを備えている。

不正クリック対策(ヤフー)
http://listing.yahoo.co.jp/support/faq/ss/ctp/index.html 不正クリック対策(グーグル)
http://adwords.google.com/support/aw/bin/topic.py?hl=jp&topic=15950

しかし、広告主としては正しく不正クリックが除外されているか自分でも把握しておきたいだろう。また、アービトラージサイト(MFA:Made for AdSenseと呼ばれるような、リスティング広告をクリックさせるためだけに作られたサイト)でのクリックも把握しておくにも、不正クリック判別機能が役にたつ。もちろん、X-logによってリスティング広告の不正クリックを防ぐことはできないが、発生した不正クリックを調べ、レポートを出力することで、払い戻し請求をできるようになるのだ。

2008年に韓国で、生花販売業者が競合店の広告を繰り返しクリックしたことから業務妨害として逮捕された事件があったが、この問題の解決に、X-logのエンジンを開発したログ社のツールが使われたということだ。

ライバル店ネット広告を大量不正クリックした男を逮捕
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2526506/3410679 リアルタイム分析
いま閲覧しているページも管理画面でチェック

X-logはJavaScriptビーコン型ながら、リアルタイムに近い状態でアクセス状況が管理画面に表示される。実際に、「現在接続者リスト」の画面では、いまアクセスしている人の一覧が、流入経路や閲覧中のページとともに表示される。

Google Analyticsではまる1日以上経たないとデータが落ち着かないこともあるので、リアルタイムに解析できるのは、ECなどではありがたい機能だ。

現在接続者リストの画面。画面表示中にだれかがサイトにアクセスしてくると、画面に表示される。この画面から、不正クリックだとみなした人にサイト上で警告を出したり、接続を遮断したりできる
現在接続者リストの画面。画面表示中にだれかがサイトにアクセスしてくると、画面に表示される。この画面から、不正クリックだとみなした人にサイト上で警告を出したり、接続を遮断したりできる
ECサイトに最適、利用料金も月額3,300円から
・ビーコン型のASPサービス
・利用料金も月額3,300円から
・日本向けサービスとして本格的に展開
・訪問者の企業名も日本語で表示
・リアルタイムチャット機能も
ECサイトに最適、利用料金も月額3,300円から ビーコン型のASPサービス

X-logは、分類でいうと、JavaScriptによるウェブビーコン型のASPサービス。つまり、Google Analyticsと同種のサービス形態だ(サーバーインストール型も提供可能とのこと)。

登録すると提供されるJavaScriptコードを、解析したいページに貼り付けることで解析が有効になり、アクセス解析の情報は管理画面にブラウザからログインして確認する。

メリットとしては、自分でサーバーなどを用意する必要もログファイルを設定する必要もなく、プログラムのバージョンアップなども自動的に行われることがある。デメリットとしては、解析したい全ページにJavaScriptコードを貼り付ける必要があることや、JavaScriptを貼り付ける前のデータは解析できないことなどがある。

利用料金も月額3,300円から

利用料金は、月間PV数に応じた月額料金制。月間1万PVまでならば月額3,300円(税込)と、かなり安価だ。

ただし、標準では6か月分のデータしか保存されないのが残念なところ。前年同月比などの解析を管理画面から行いたい場合は、データ長期保存のオプションサービス(24か月に延長)が必要となる。とはいえ、月間1万PVまでならばデータ長期保存オプションを追加しても月額4,300円と安価なことに違いはない(4月1日のサービス開始を記念して、2010年9月30日まで初期費用無料キャンペーンが実施されている)。

日本向けサービスとして本格的に展開

韓国のログ社が開発した端末識別/解析エンジンをベースに、ジャスネットが日本向けのサービスとして完成させ提供しているのだが、インターフェイスの日本語は非常にしっかりしている印象だ。

また、データ収集サーバーなども国内のデータセンターを利用しているとのこと。データ収集サーバーが海外にある場合、サイトを訪問してくれた人がページを表示する速度に影響を与える場合もあるため、国内サーバーであることのメリットは意外と大きいものだ(Google Analyticsなどでは訪問者の地域に応じて適切なサーバーからダウンロードさせる機能があるが)。

訪問者の企業名も日本語で表示

訪問者の地域は都道府県だけでなく市町村単位まで表示され(海外からの場合は都市名まで)、所属企業の情報も日本語で表示される。ユニークユーザー識別とリアルタイム分析の機能と併せて、訪問者ごとに、どの地域にいるどの会社の人がどういった検索キーワードでサイトにたどり着き、どのページをどれくらい見たかという情報が確認できるのが特徴だ。

ECサイトならば、ユーザーの動きをみながら広告や動線を修正するなどできて便利だろう。

B2Bのサイトでも、見込み客をさがすツールとしても利用できるだろう。

地域別訪問者状況の画面。都道府県だけでなく、市町村レベルまで表示され、地域ごとに整理した状態で検索キーワードなどを確認できる
地域別訪問者状況の画面。都道府県だけでなく、市町村レベルまで表示され、地域ごとに整理した状態で検索キーワードなどを確認できる
企業別訪問者状況の画面。企業名や団体名が日本語で表示されるのはありがたい。組織ごとに整理した状態で検索キーワードなどを確認できる
企業別訪問者状況の画面。企業名や団体名が日本語で表示されるのはありがたい。組織ごとに整理した状態で検索キーワードなどを確認できる
リアルタイムチャット機能も

X-logはチャットによるリアルタイム相談をブラウザ上で行う機能を備えている。ユニークユーザーを識別できることと、リアルタイム性をベースにしたX-Chatという機能で、このツールのおもしろい特徴となっている。

サイトにアクセスすると、画面に小さなチャットウィンドウが表示される。訪問者は、そこにメッセージを入力することで、リアルタイムに管理者に質問できるのだ。逆に、管理者側からユーザーに対して「この商品は在庫が少なくなっています」「5時までにご注文いただければ本日発送できますよ」のようにプッシュでメッセージを送ってチャットを開始することも可能だ。

その際にユーザーは個人情報を入力しなくてもいい。しかし、管理側ではその人が過去にどんなページを見ていたか確認できる。

もちろん、管理者が不在のときには訪問者の画面にチャット窓は表示されないようにもできる。

PPCを多用するECやB2Bサイトに最適

X-logは一般的なアクセス解析ツールとしても利用できるが、その特徴が最大限に活かされるのは、リスティング広告を利用しているサイト、特にネットショップやB2Bリード獲得サイトだろう。そういったサイトのWeb担当者ならば、いちど試してみても損はないだろう。

Web担当者Forumでも、X-logのレビュー記事を予定しているので、楽しみにしていてほしい。

ちなみに、2010年のゴールデンウィーク明けから、モバイル解析機能をベータ版としてサービス開始するとのこと。

X-log http://x-log.jp/ 株式会社ジャスネット http://www.jasnet.co.jp/
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オリジナル記事:クッキー削除率は20%? 本当のユニークユーザー数がわかる新しいアクセス解析ツールX-logに注目 [編集長ブログ―安田英久] | Web担当者Forum
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参照元情報: Web担当者Forum
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2010/04/30/7826

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